世界中の人々の生活がコロナ禍で一変し、非日常が日常となってから早数カ月。
自粛の必要性が叫ばれるなかでも創意工夫を凝らして楽しみを見出す人々を取材し、The New Normalでの生き方に迫った。
今回は、ウェブメディア「NEUT Magazine」の編集長を務める平山潤さんにインタビュー。コロナの影響で従来の取材やイベント企画が頓挫する中、国内外のクリエイターによるアート作品を集めたMATTER OF CORONAシリーズを始めとする、ユニークな情報発信を続けるNEUTの今とこれからを尋ねた。
――最近の心境は?
最初は人に会えないじゃん!って思った。コロナの前はめちゃめちゃ人に会ってたし、それが仕事につながってた部分があったから、ちょっと不安だった。でも新型コロナに対するアートワークやクリエイティブアウトプットをアーカイブする新連載「MATTER OF CORONA」を始めて、遠隔だからこそ色々な人にリーチしようと思ってインスタグラムでコンタクトしていたら、結構有名な海外のアーティストが返事をくれたり、その企画いいねって言ってくれたりして。国内でも今まで一緒に仕事したことがなかった人も、たくさんアートワークを提供してくれた。離れたからこそ、フィジカルではつながってない人とつながることができた。これは自分自身にとっても、NEUTにとっても可能性が広がったなと思う。その一方で、直接会ってのコミュニケーションが下手くそにならないか心配でもあるけどね(笑)
――いろいろな情報が錯乱してメディアの価値が問われる中、NEUTとしてはどんな役割を担っていきたい?
NEUTはもともと報道メディアではないから、カルチャーの面でどういうアクションが出ているか、そのレプレゼンテーションをするのが役割だと思ってる。他のメディアでは見られないようなものを伝えたい。MATTER OF CORONAを始めたのも、グローバルレベルでみんなが同じトピックに対してアートワークを作ってるっていうのが良いなと思って。日本だけじゃなく世界の他の場所でも同じことをやっていたり、国によって視点やメッセージが違ったりするんだけど、一つの連載の中にみんなの作品を入れることで連帯感が出る。こういう状況でも、創ることをやめずに活動してる人たちがいることを伝えるのは、ポジティブなことだなと思ってる。
それと、最近若い子たちの間では、普通のニュースをフォローしてない子もたくさんいて、そういう層に向けてどうポジティブに情報を発信できるかということは意識してる。例えば最近だと、もともと看護師をやりながらモデルをやってる子の声を届けたりしてて、今起きてることに対する関心を上げられたら。こういう状況の中、もちろん色々焦ることはあるけど、焦ってる中で、周りのコミュニティーの人がこれを経てどう思ってるのか、そういう意見や視点をもっと伝えていきたいと思う。
――厳しい状況の中でも前向きに新しい可能性を見出し続ける原動力は?
NEUTのシンボルのイモリって、科学者に「master of regeneration」って言われてるんだよね。トカゲって尻尾切れたら生えるけど、イモリって脳味噌とか目とかを傷つけられても復活するの。だからNEUTも、どこかが破損しても復活する、失敗してもまた立ち直るっていう思いがあって。まだ僕たちは規模も小さいし、失うものはあまりない。自分たちや社会が危機に直面した時にくじけそうになってしまうけど、イモリのように「復活」できるメンタリティを常に持って、いい情報を発信していきたい。